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私から三琴先輩にアクション──つまり自分からキスをする。
それは、恋愛初心者の私にはかなり難易度が高い。
そもそも、お昼休みはエナちゃんや寛太先輩も一緒だし、下校中は言わずもがな人の目があるから触れ合うこともままならない。
先輩の部屋に行く機会は多い訳でも無いし、「先輩に触れたいから」と言って部屋に入れてもらうわけにもいかない。
……あれ、これってかなり絶望的な状況なのでは。
「大槻さん?」
真渡くんが「どうかした?」と顔を覗き込んでくる。ブラウンの瞳に見つめられ、黙っていれば顔だけは良いのにな、とぼんやり思った。
「…真渡くん」
「ん」
「……、健全な男の人って、ふつう女の子に触りたいって思うものじゃないのかな」
「……ん?」
……しまった、間違えた。



