春先輩と付き合っていた時もこんな感じだったのだろうか。
春先輩は欲望がない人だったのか、はたまた 触れたい理由が私にないだけなのか。
「紘菜ちゃんもミスコン出ると思ってた」
「あー、…はは、私は大それた顔じゃないので」
三琴先輩の話に曖昧な相槌を打ちながらも、そんなことを考えては少しモヤモヤしてしまう。
私には魅力がない?
年下の女には欲情しない?
付き合って2ヶ月目。
周りのカップルはどのくらいのスピードで進んでいるのか検討がつかない。
キスどころかキスさえも数えるくらいしかしない私と三琴先輩の関係は、ただ『健全』だと言えるのかも分からなかった。
「まあでも、可愛いのが不特定多数に知られても困るし 俺からしたらそっちの方有難いけどね」
不意に落とされた言葉にドキ、と胸が鳴った。
三琴先輩は私のことが好きだ。
それはちゃんと感じている。
けれど、「好き」でも先輩は私に触れてはくれない。



