「そういえばさ、やっぱりエナちゃんは寛太先輩と付き合ってるの?」
教室に戻る途中、残りの夏休みの間 地味に気になっていたことを思いだしたのでエナちゃんに聞いてみることにした。
前に聞いた時は「同盟を組んでるから」とかなんとかよくわからないことを言っていたけれど……それでもやっぱり本当はどうなのか気になってしまう。
私の言葉に、エナちゃんは「付き合ってないよ」と短く返事をした。
「えー、好きとかもないの?」
「どうだろ」
「怪しいなぁ」
「でも付き合ってないのはほんと」
エナちゃんは基本的に謎に包まれている。
中学からの付き合いなので、エナちゃんの歴代の2人の彼氏のことも知っている。
1人は中学校の時で、クラスの委員長だった。
真面目で誠実そうなひとだったっけな。
2人目は高校に入ってすぐ、ひとめぼれをしたとか何とかで告白してきた男の子。
柔らかい雰囲気で、優しそうな───系統で言うと翔斗みたいな人だったなぁ。