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「2人とも、午後の授業頑張ってね」
「ありがとうございます」
「紘菜ちゃんも、また帰りに下駄箱でね」
「…あ、はい」
昼休みの終了を告げるチャイムが鳴り、私たちは食べ終わった食器を下げて食堂を出た。
3年生の教室は2階、2年生は3階に教室があるので、いつも2階に着いたところで三琴先輩と寛太先輩とは手を振ってわかれている。
「あ、これあげる」
去り際、三琴先輩が私の右手に飴を2つ握らせた。小さくお礼を言えば、先輩はにっと笑って寛太先輩の後を追っていた。
そういえば前も飴をくれたことがあったっけ。
先輩、甘党だから常にポケットに忍ばせているのだろうか。
もらった飴をエナちゃんにひとつあげると、エナちゃんは「すっかり甘やかされてるのね」と笑っていた。