ずるいよ先輩、甘すぎます










「バイト頑張って」

「…ありがとうございます」




三琴先輩はバイト先の近くまで送り届けてくれた。

真渡くんに見かけられてしつこく言及されるのも嫌だったので、手前の路地までにしてもらったのだ。




先輩は私の頭を優しく撫でると、「また連絡するね」といってちいさく微笑んだ。


それだけできゅうっと胸が鳴るのは、
先輩の大きな手が私に触れたせいか、

彼に対する気持ちが募るからか───…



きっとぜんぶに当てはまるのだと思う。



夏の夕方の透き通った空気が、ひどく心地よかった。



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