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「紘菜ちゃん、うどんあんまり好きじゃないの?」
「麺類は基本ラーメンかパスタしか食べないです。…あ、でもカレーうどんは好きです」
「え、まじで?カレーうどん、俺作るの得意。今度作ってあげよっか」
「いいんですか?」
「うん、紘菜ちゃんなら」
「そこの2人、公衆の場でいちゃつくのやめてくれる?」
ななめ向かいに座る寛太先輩にそう言われ、私と三琴先輩は目を合わせて、お互いみるみる赤くなった顔を隠すようにどちらともなく視線を逸らした。
夏休みが開けの平日。
私たちの学校は、始業式の日も関係なく午後から授業がある。
私、エナちゃん、三琴先輩、寛太先輩の4人は、食堂の中央にある4人掛けのテーブルを囲みながら学食を食べていた。
三琴先輩から逸らした視線は、行き場がなかったので仕方なく目の前に置かれた味噌ラーメンに向けた。
ソフト麺が、たくさんの野菜に埋もれるようにスープの中に沈んでいる。スープに映った私はわかりやすく頬が緩んでいて、それがすこしだけ恥ずかしかった。



