――『紘菜ちゃんの口からそんなのききたくねーよ…』
三琴先輩にキスをされた時、くちびるを話した先輩は掠れた声でそう言っていた。
傷つけてしまったと思っていた。
春先輩のことを引きずっているから、思いださせるように名前を出してしまったことが申し訳なくて謝りたかった。
けれど、それは違ったみたいだ。
「春の代わりでも、遊びでもないよ」
「…、っ」
「知りたいって思ったのも本心だった。紘菜ちゃんだから一緒に花火見に行きたかった。…浴衣、見たいと思ってたのもほんと」
恋に遠慮はいらないらしい。
人を好きになるのに時間も立場も関係ないらしい。
頭では分かっていてもどうにもできない人間くささが、今の三琴先輩にはあるらしい。
「俺、紘菜ちゃんのこと……、好きみたい」
これをなんと呼ぶか───私は知っている。



