きみがため

陽気に答え、笑顔でひらひらと手を振ると、カバンを肩にかけたお母さんは大慌てで玄関に向かった。

グレーのパンツスーツの背中が、ドアの向こうに消えていく。

ハウスメーカーで働いているお母さんは、出勤時はいつもスーツを着ていた。

バタンと玄関扉の閉まる重厚な音が聞こえたあとで、私は張り付けていた笑みをスッと消した。

胸が重い。体がだるい。

でも、これは病気なんかじゃない。私に意気地がないだけ。

――だから、学校に行かなくちゃ。