きみがため

「教えてくれて、ありがとうございます。何も知らない方がよほどつらかったです」

私の返事を聞くなり、そう、と近藤さんはうっすら微笑んだ。

「今は眠っているだけだから、いずれ目を覚ますだろうってドクターは言ってたわ。もう少しだけ、彼の傍にいてあげてくれるかしら?」

「はい」

彼の手を握ったまま深く頷くと、優しい笑みを残して、近藤さんは病室をあとにした。