きみがため

「……っ!」

何もかもが信じられなかった。

どうしたらいいかも分からなかった。

ただ、光が窓から宙に放たれたという事実だけを、映像として受け止める。

――だけど、光はひとりじゃなかった。

私の何倍もの速さで窓に辿りついた桜人が、身を乗り出し、窓の外に飛び出したのだ。

抜けるように青い空の真ん中で、桜人が、光を大事そうに抱きしめる。

そしてふたりは、そのままあっという間に姿を消した。