再来年に控えた受験のために、夏葉と同じ塾に通い始めた。
土曜日だけど、午前中授業があったその日。
塾が始まるまでの開いた時間、学校近くのファーストフード店で、私は夏葉と一緒に勉強をしていた。
カウンター席の窓の向こうの景色はすっかり冬の装いになっている。
コートやジャケットを着込んでいる人、寒そうに手をこすり合わせている人。
寄り添い合うカップル、店頭で光るクリスマスツリー。
ふとシャーペンを持つ手を止め、窓の向こうを見つめた。
十二月に入ったばかりだというのに、今日は異常気象とやらで、道行く人の吐く息が白く凍るほど寒い。
私も制服の上にコートを着て、赤いマフラーをグルグル巻きにしてきた。
すると、同じ学校の女子生徒たちが数人、各々トレイを持って背後から入ってきた。
クラスは違うけど、見たことがある子たちだ。
だけど向こうは、隅の窓辺にいる私たちには気づいていないみたい。
「小瀬川くん?」
ひとりの子の声に、思わず肩がびくっと跳ね上がる。
「たしかに今がチャンスかも。浦部さんもさ、つきまとわなくなったし」
「フラれたんじゃない? 水田さんときみたいにさ」
楽しそうにはしゃぐ彼女たちの声が、こちらに近づいてくる。
だけど私たちの存在に気づくなり、息を殺すように、皆押し黙った。
そして、そそくさと遠くの席に行く。
私が小瀬川くんの元カノで、こっぴどくフラれたという噂は、またたくまに学年中に広まっていた。
真実を正す気力も機会もなく、こうして噂だけが独り歩きしている状態だ。
でも、こんな状況にももう慣れてしまった。
逃げるようにいなくなってしまった彼女たちの様子が少し面白くて、そちらを目で追ってしまう。
するとその様子を見ていた夏葉が、「真菜って、強くなったよね」と言った。
「そうかな?」
「強くなきゃできないよ。ずっと、ひとりの人を想い続けるなんてこと」
土曜日だけど、午前中授業があったその日。
塾が始まるまでの開いた時間、学校近くのファーストフード店で、私は夏葉と一緒に勉強をしていた。
カウンター席の窓の向こうの景色はすっかり冬の装いになっている。
コートやジャケットを着込んでいる人、寒そうに手をこすり合わせている人。
寄り添い合うカップル、店頭で光るクリスマスツリー。
ふとシャーペンを持つ手を止め、窓の向こうを見つめた。
十二月に入ったばかりだというのに、今日は異常気象とやらで、道行く人の吐く息が白く凍るほど寒い。
私も制服の上にコートを着て、赤いマフラーをグルグル巻きにしてきた。
すると、同じ学校の女子生徒たちが数人、各々トレイを持って背後から入ってきた。
クラスは違うけど、見たことがある子たちだ。
だけど向こうは、隅の窓辺にいる私たちには気づいていないみたい。
「小瀬川くん?」
ひとりの子の声に、思わず肩がびくっと跳ね上がる。
「たしかに今がチャンスかも。浦部さんもさ、つきまとわなくなったし」
「フラれたんじゃない? 水田さんときみたいにさ」
楽しそうにはしゃぐ彼女たちの声が、こちらに近づいてくる。
だけど私たちの存在に気づくなり、息を殺すように、皆押し黙った。
そして、そそくさと遠くの席に行く。
私が小瀬川くんの元カノで、こっぴどくフラれたという噂は、またたくまに学年中に広まっていた。
真実を正す気力も機会もなく、こうして噂だけが独り歩きしている状態だ。
でも、こんな状況にももう慣れてしまった。
逃げるようにいなくなってしまった彼女たちの様子が少し面白くて、そちらを目で追ってしまう。
するとその様子を見ていた夏葉が、「真菜って、強くなったよね」と言った。
「そうかな?」
「強くなきゃできないよ。ずっと、ひとりの人を想い続けるなんてこと」



