きみがため

送った覚えもないのに、どうしてという疑問は、当然湧いた。

だけどそれ以上に、自分の作品が認められたという歓びが、胸に押し寄せる。

自分の胸から湧き出た言葉が、誰かの目に届き、そして共感を得た。

誰かの心を震わせた。

その事実が、たまらなくうれしかった。

「俺なんか、何度も送ってるけど全然ダメですよ! 一発で特別賞って、才能ありますよ! ていうか乗り気じゃなかったのに、いつ送ったんですか?」

「……送ってない。私じゃない」

「え? じゃあ、誰かが勝手に送ったのかな。部長とか?」

あの人がそんなことするかなあ、と田辺くんは唸っている。

「じゃあ、増村先生かなあ……」

首を捻っている田辺くんの隣で、私は、あるひとつの可能性について考えていた。

――もしかして、桜人が?