きみがため

「お姉ちゃん。花火の写真、撮ってきてくれない?」

光は、私に向けてそう言った。

「光……」

まだ小学生の光は、顔に気持ちがすぐに出る。

残念そうな顔からは、本当は直接見たいという思いがありありと伝わってきた。

それでも光は、必死に耐えている。

健気な姿に、たまらなく胸が震えた。

光はきっと、花火の写真を見ることで、今はいないお父さんの面影を感じたいんだ。

「……分かった。最高の写真、スマホで撮ってくる」

「真菜、いいの?」

お母さんの問いかけに、笑顔で頷く。

「かわいい弟のためだし。まかせといて」

残念そうな光の顔が、にわかに明るくなる。

あまり遅くならないことをお母さんに約束して、ふたりとバス停で別れた。