きみがため

「これ。大道具の材料の買い出し行ったから、レシートとお釣り」

「ありがとう。ちょっと待ってね、確認するから」

文化祭の出し物の会計は、私が担ってる。

買い出しに行く前に見積もりを出してもらい、少し多めの額を渡す。

そして、お釣りとレシートを貰うという流れだ。お金は先生が管理しているので、都度先生を探してお金を貰ったり返したりしないといけないのが、けっこう大変だったりする。

「うん、ぴったり。ありがとう」

確認を終え、顔を上げると、浦部さんはなぜか私ではなく、いまだ音響係と話し込んでいる桜人を見ていた。 

「最近聞いたんだけど、水田さんも、小瀬川くんも、同じ文芸部だったんだね。ていうか文芸部なんてあったこと、全然知らなかった」

桜人を見つめたまま、浦部さんが言う。

そして、咎めるような視線を私に向けた。

「小瀬川くんのこと、好きなの?」

ストレートに問われ、たじろいだ。