愛は惜しみなく与う⑥

そんな様子に気づいたのか、今度は泉が顔を真っ青にして走ってくる。


「何してんだよ」

「んーー散歩?」

「はぁ、おとなしく捕まってて」


泉にそう言われてあたしは肩に担がれた。あれ、誘拐みたい

そのまま泉は、目に前で暴れていた山元組を無視して走り去る

ええの?


めちゃくちゃ侵入してるけど



「みんな怪我するのは困る…」


さすがにな?アホやけど一応東堂で雇ってる人達なんやし…

そんなあたしの言葉を聞いて、大人しくしてろよと少し怒って、またそっちに走っていった


忙しいな、泉

馴染んでて笑うわ

言われた通り、大人しく草陰にしゃがむ

後は竹の柵がずらりと並んでいて、この向こう側に、東堂組の敷地が広がる


泉1人で大丈夫かな

ちらりと様子を伺えば、見たことある人たちの顔がいっぱいになっていた


「あ、東堂組のみんな…」


泉のまわりにみんなが駆け付けて、山元組はみるみる抑えられた

さすが!自慢の東堂組やで!


そんな様子を遠くから見ていると、組員達が泉にハイタッチを求めている。

なんやろ

その光景に違和感