愛は惜しみなく与う⑥

優劣をつけられる世界にいたんです

そこでキッパリと優劣をつけられた。
誰もが羨む立場であるはずなのに、東堂の出来損ないとまで言われ…そこから自ら退き、立場を隠し生きた。

嫉妬や僻みなんて、低レベルなんですよ


ほんとうに。


どうしてこんな事になってしまったのか


眠ってるのか意識がないのか
分かりませんが、ここから早く出なければなりません。

鈴の身体を持ち上げて、そこから一気に外を目指す。



もう、逃しません

きっと馬鹿みたいな言い訳や、しょーもない理由なんでしょう。
それでもいい。最後まで聞きますから…
だからどうか


姉として慕っていたあの頃を思い出して欲しい


杏様は、いつも言っていました


『鈴はホンマに自慢の妹や』


嫌なこともあったのに。もう、気にしていない。本当に、ただただ東堂の後継者として努力していた鈴を、尊敬していた


「馬鹿な妹ですよ。杏様がどれだけ貴方を守っていたかなんて、知りもしないんでしょう」


……

目を閉じれば、2人のことを思い出します