愛は惜しみなく与う⑥

そりゃそうだよな
あんなに血が出てたんだ


「まぁ…自分の状態は1番わかってると思うけどな。分かってても動かなきゃいけねーって必死みたいだけど。

もう一度言うけど、俺は死人は生き返らせらんねぇからな。お前がどうにかしろ」


連れてきたんだから責任取れ

助國さんはそう言って、下の自宅に戻ると階段を降りていってしまった。


そうだよな


志木さんがいなきゃ、杏は…もっと悲しむからさ。
俺がなんとかしないと


「あ、泉。話したいんですけど、どうしましょう。皆様お揃いの方がいいですかね」

「内容をまとめてから話さなきゃ、理解できない奴も居るからまずは俺が聞きますよ」


いつもと何も変わらない志木さん

でもきっと、今この瞬間も激痛のはず。かなり深くまで刺さっていたらしいナイフ

臓器が傷つかなかったのが奇跡だとも、助國さんは言っていた


「では、お言葉に甘えて、この場で泉に話しをさせてもらいますね。ただ…とても、重い話になります。私も実は、まだ受け入れられないんですよ。この真実を…」


そう前置きをして志木さんは話し出した。


聞いた話は本当に


受け入れ難いものだった


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