「志木のにいちゃん。これ、どうやったら治るの」

響も結構かかったのか、目をゴシゴシするが、開けれない状態だ


「…擦らないように。冷たい水で洗い流すしか」


私もかかりましたと志木さんは身体をさする。どうやら皮膚がピリピリするのは、それが原因だ。
無事そうなのは新と慧と、俺と志木さんは、辛うじて動ける


「お前がかかったら意味ないだろ?お前とやり合うの楽しみにしてたのに」


サトルは地面に倒れる泉を見て笑う


「…泉に近寄らないでください」


「久しぶりだな、執事。お前もしつこくて大変だったよ」


絶望的
そんな状況


泉が動けない


そしてヒリヒリ痛む皮膚
顔にかかった泉は、耐え難い痛みに襲われてるはずだ。だって泉が…こんな風になるのを見たことが無いから


「どうする?お前達を引っ張ってきた本人が戦えそうに無いけど……怖いだろ?頼りにしてた奴がこうなるなんて」


ハハハとサトルは高笑いしている

小さな声で志木さんが、泉を後ろに下げてくれと言い、必死に引きずるように泉を引っ張る



パンッ!!!!


乾いた音

音がした方を見れば、サトルは手に黒い鉄の塊を持っている




「杏が来るまで、お前らで遊ぼうかな」



恐怖が限界を越えると思考回路が停止する。


勝ちめなんて


無いだろう



ただ目を大きく見開いて、サトルの行動を黙って見ていることしか出来なかった。


恐怖で支配された体は、いうことを聞いてくれる気配なんて、一つもなかった


逃げることもできない



絶望の文字が頭によぎった




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