愛は惜しみなく与う⑥

吐き捨てるように泉は言った

その圧に、水瀬は動けなくなった


そして俺たちも


「……鈴の代わりに死んだ、というよりも、タイミングを合わせられた、という方が正しいかもしれませんね」


志木さんは泉と水瀬から離れて、小さな声で俺たちに聞こえるくらいの声で話した。


水瀬は妹のことを、どういう感情で見ていたんだろうか。


「死にたがりが本当に死ぬときは、絶望した時、ね。サトルが絶望を与えてくれたって認識なのかな」

慧は納得いかない。そんな顔をして言う


「憶測ですが…そうでしょう。人が本当に死にたくなるラインというのは、人それぞれなんで、分かりませんが……私はただ良いように利用されたようにしか思えません」


新も離れたところで地面を見つめ苦しむ水瀬を見て、そう呟いた

利用、か



「たまたま鈴に似ていた、と言うことではないと思いますね。サトルは、似ているから駒にした。ただそれだけだと思います。そこに救済の気持ちなんてありませんよ」


俺はサトルに会ってないから、どういう奴なのか、聞いた話での知識しかないけど。