愛は惜しみなく与う⑥

「引き止めて欲しい、もし幸せになれるなら生きていたい。でも幸せになれないなら死にたい。私は、『死にたがり』は素直な気持ちだと思います。ただ『死にたがり』は、絶対に死にません。根本は死にたくないので。ただ一つ、『死にたがり』が死のうと行動に移るときがあります。

それは

『死にたがり』が本当の絶望を味わったとき。幸せの気持ちなんてない。夢も希望も何もなくなった時。死を後悔しなくなった時、『死にたがり』は、ようやく死ねます」



俺たちは…特に俺は、最初は全く理解できず、志木さんの言葉を聞いていた。

でも、わかった



俺はただの『死にたがり』だった


あの元クソ家族から受けた育児放棄に虐待。死にたかった。でも、お母さんの写真や、泉に希望を持った。

死にたかったけど、死にたくなんてなかった。


だから俺はただの『死にたがり』


もしあの日、泉が俺を見つけてくれなかったら、希望もクソもなく、本当にこの世に未練もなく死んだと思う。


あってるか分からないけど、志木さんは、そういう事を言ってるんだと思う。