「……まぁいい。そんな安い挑発には乗らないよ。ここでチンタラしてる間に、お前たちの大事な大事な女が、こっちに向かってくるかもしれないもんな?早く…片付けなきゃいけないよな?」
水瀬は開き直ったのか、杏の話を出してくる。
正直、妹の水瀬愛の話とか、聞きたかった。
聞くべきだと俺は思ってた。
でも泉は違った
「杏が後から来て…杏の前で俺達をどうにかするつもりだったのか?分かりやすいな。俺が何も考えてないと思うのか?」
水瀬に一歩一歩近づく泉
水瀬は泉の圧に押されているのか、少し後ずさる
「杏がくる前に終わらせるに決まってんだろ」
泉はその言葉とともに、水瀬の腹に蹴りを入れた。始まった
本格的に、始まったんだ
薬でおかしくなってる奴らなんて、ただの駒でしかない。
今からが…
本当の戦い
「立てよ。蹴り飛ばして終わりは、呆気なさすぎるだろ。こんなもんで、終わらせるかよ」
泉が杏を置いてここに来ると言うことは、かなり心を痛めたはずだ。
泉はいつだって、どんな辛いことでも、杏の気持ちを優先したから。



