愛は惜しみなく与う⑥


「……まぁいい。そんな安い挑発には乗らないよ。ここでチンタラしてる間に、お前たちの大事な大事な女が、こっちに向かってくるかもしれないもんな?早く…片付けなきゃいけないよな?」


水瀬は開き直ったのか、杏の話を出してくる。
正直、妹の水瀬愛の話とか、聞きたかった。

聞くべきだと俺は思ってた。


でも泉は違った


「杏が後から来て…杏の前で俺達をどうにかするつもりだったのか?分かりやすいな。俺が何も考えてないと思うのか?」


水瀬に一歩一歩近づく泉
水瀬は泉の圧に押されているのか、少し後ずさる


「杏がくる前に終わらせるに決まってんだろ」


泉はその言葉とともに、水瀬の腹に蹴りを入れた。始まった

本格的に、始まったんだ


薬でおかしくなってる奴らなんて、ただの駒でしかない。

今からが…


本当の戦い



「立てよ。蹴り飛ばして終わりは、呆気なさすぎるだろ。こんなもんで、終わらせるかよ」


泉が杏を置いてここに来ると言うことは、かなり心を痛めたはずだ。
泉はいつだって、どんな辛いことでも、杏の気持ちを優先したから。