愛は惜しみなく与う⑥

少しして、助國さんに外に出てろと言われ部屋から出された。

そして2時間後くらいに、助國さんは部屋から出てきた。


「おい、泉。ちょっとこい」


何故か浮かない顔…というか不機嫌な様子の助國さん。
助國さんが出てきた扉の隙間を覗くと、志木さんは、ベッドの上で、上半身を起こして座っていた


大丈夫なのか?


「なぁ、志木さんは?怪我は治るのか?」

「……お前、あいつ誰だ」

「え?」

「意識飛びたくないからって、麻酔打たずに治療しろって言ってきやがった。腹えぐれてるんだぞ?しつこいからそうしたけど。一言も声上げずに、黙って目を閉じて耐えてた。

なぁ、あいつは誰だ?お前ら何してる。俺は闇医者だ。金貰えば何でもする。でも、ちゃんと世に出て医者をしてた時があった。

そのことを思い出して言えば…


あんまり無茶すると、あいつ死ぬぞ」


志木さん…
助國さんがここまで言うのは相当だ。
基本的に口を出さないように、ただ傷を治す。そういう人なのに


「傷口塞がったけど、閉じただけだからな?治ってないから。動けばすぐに開くぞ」