愛は惜しみなく与う⑥

数十人

大の大人に


勝てへん



「みんな、どいてよ」


そう言っても、すみません嬢…と謝るだけ


「2時間も…連絡ないっておかしい」

「…手が離せないんだろう」

「アホいいな!そんなことない!!志木がいたらちゃんと連絡してくるはずや!!それでこんなに連絡ないのは…」


そのまま言葉を繋げることができひんかった。2時間で何ができる?

ひとつチーム潰すくらい簡単にできる。


薔薇が襲われたのなんて一瞬やった


「もっかい言う。今すぐどいて」


あたしがそう言えば、数人は身体をビクッとさせた。抜けるならあの辺か…

でも


「杏、大人しくしてろ。辛い記憶が蘇る場所に、わざわざいく必要はない」 

「このままで何になるんよ。ずっと逃げて避けてきて、何も変わらへんかった!!!今ここであたしが逃げてどうするんよ!」


確かにあたしは逃げてた

鈴のことも、もっと調べなあかんかったのにそれをせず、あたしは関西から逃げるように関東へ行った。

またあの時の記憶が呼び起こされるのが怖かった。