愛は惜しみなく与う⑥

かなりの時間が経ってる


「これは、あかん」


携帯だけ握りしめて部屋の窓を開けて格子を外す

ここから出るのは久しぶり



でもそんなんどうでもいい


飛び降りる勢いで外に出た


こわい


みんながいない



東堂組の敷地に入った時

雄作さんが立ってた


あぁ、そうか



「足止め?」


悲しくて泣きそうやわ
みんなはあたしの為に、何かを犠牲にしていい人じゃない


「杏、お前はここでみんなの帰りを待て」

「無理に決まってるやん。あたしの事やのに…あたしがおらんとか何も解決せんやん」


雄作さんはあたしが一歩近づけば一歩離れる


「サトルは先にあいつらを片付けたいらしい。泉にそう言った。もしお前が1人で行ってたとしても、解決しなかった。
あいつらがお前を助けたいと思うのは、サトルにとって邪魔でしかない。どっちにしろ、あいつらが狙われるのに変わりはない」


は?何ゆうてんの
解決するよ
する為にあたしが行くんやん



「みんなに手を出させへん為に、あたしが終わらせようとしたんやで」