愛は惜しみなく与う⑥

私はあなた達に、1番会って欲しいですけどね。


まぁ1番会いたかったのは、私ですけど。


杏様の家を出て、あの誕生日会の名簿を見て…そして鈴と接触してから…

ついさっきまで、会えなかったんですから。

ただ会いにいかなかったのとは訳が違うんです。会いたいのに会えなかったというのがしんどかったんです。

そして何より…
辛い思いを1人でさせてしまうという…


執事失格です



『なぁ志木くん?』

「なんでしょうか?」

『この後どうしたらええ?妹は志木くんが調べて、水瀬に聞くのが1番やと思うんやけど…あたしらに出来ることはあるんかな』


出来ること…


「正直この後どう進むか分かりません。杏様は自分からサトルにコンタクトを取ると言っています。今日か明日あたりには全て決まると思います。 
ただお察しの通り、1人で行こうとしているのも事実。真実を知るために、杏様だけが行くというのは必須なんですが…

1人にはさせたくありませんし…」


『はぁ〜そうか。スコーピオンもさ、殆ど片付けたけど、でもまだおるやろ?全国に散らばってるんやから…既に今サトルが声をかければ、集まる人もおるやろ』