愛は惜しみなく与う⑥

そして、あの事件で行方不明になったとされているのは、杏様だけです。
本来ならもう失踪届けが出ていないとおかしいんです。

でも…水瀬愛の家族がそれをしなければ…
水瀬愛が関わる人が少ないなら…

 
いなくなった事に誰も気づかないかもしれない。


「そうですね…水瀬愛ですね。すぐに調べてみます。何か出てきそうなにおいがプンプンしますので」

『あぁ、そうしてくれ。もう一旦俺らは帰るから。どうせ杏が1人でやる!とかまた言ってるやろ?』


流石ですね。
言ってますとも。もう分かりやすいですよね


『1人で行こうとするなら殴って気絶でもさせとけ』

「ふふ。私には出来ませんね」

『ここまできたら執事とか関係ねーだろ?』

「いや、殴る前に殴られて気絶するのは私です。杏様に勝てる気はしませんので」


なるほど。そっちな
そう昴は笑った

後ろでヤイヤイ話す美奈子と敦子の声も聞こえる。


『ちょっと、志木!あの子達は無事よね?』

「あの子達とは?」

『あのガキンチョよ!朔達よ!』

あぁ。
まぁ3つ離れているとガキンチョになるんですかね?美奈子も変わらないと思いますが…


「杏様に会えて、泣いて喜んでました」

『なんやそれ…羨ましいな』


ハハハと電話越しに3人が笑った