愛は惜しみなく与う⑥

「素直な志木さん、不気味だな」

「杏様みたいなことを言うんですね」


泉の言葉が刺さった

杏様の未来を守ったとして

私がいなければ杏様はきっと悲しみます


そして私も…杏様の明るい未来の一部でありたい。


正直、気を抜けば意識を失いそうなくらい、傷は痛い。痛み止めなんて効いてないと同然です

こんな状態で動くのは、バカでしたね



「私の持ち得る情報をすべて与えます。東堂家への入り方、杏様がいる場所まで行き方」


すべて教えます

ここから数時間、鍵の使い方や家の間取り図、東堂の人間の顔

すべて泉の頭に叩き込みました


「し、執事のフリをするんですか?」

「実は何日か私は連絡なしに東堂家を不在にしています。1日無断で休めば、次の日には新しい執事やメイド、お手伝いさんがくるんですよ。だから、あなたは、私の代わりって事になりそうですね」


普通にこっそり侵入するだけだと思っていたようですね。
でもそれは、不可能です

こっそりなんて…山ほどカメラもあるんで、それを切り抜けるのは、私でも無理です