愛は惜しみなく与う⑥

「杏が東堂から解放されて、過ごしていくのを見ていきたいでしょ?」

「…はい」

「杏の成人式に参列したいでしょ?」

「はい…勿論」

「杏のウェディングドレス姿も見たいでしょ?」

「……それは、ムカつきますけど」


素直だな。と泉は笑う
もう…この人も困った人です。
杏様と同じくらい真っ直ぐなんですから



「俺1人で行く。そのために俺に鍵を預けたんでしょ?志木さんは、早くその傷を治すことに専念してください」


こんなにも頼りになる男が、私以外に居たんですね。
本当に…まいりました


「行くといえば、傷口をパンチされそうですね」

「無理矢理ついてくるなら、そうしますよ」

「ただでさえ痛いのに、あなたのパンチはもらいたくないな」


私もどこかで分かっていた
今回の杏様の側に居れない予感は当たってしまった。
何か嫌な未来が見えて、自分じゃ守れない気がして


泉に東堂の鍵を渡したんでしたね


「分かりました。本当に貴方がいてよかった」


そう言うと少し嫌そうな顔をして笑う泉