目の前の志木に飛びついた


志木もスッと腕を広げたから



「アホ!アホアホアホ!!!」

「言葉遣い。アホなんて言ってはいけませんとあれほど…」

「志木のアホ!!あたしどれだけ不安やったか!!」

「……そうでしたね。アホで構いません。お待たせしました」


コアラのように志木にしがみついて、志木はあたしを赤ん坊でもあやすかのように、トントンと優しく叩く

あぁ

志木や
志木の匂いがする

居なくなってしまうんかと思った



「1年間、ただ働きにするからな!」

「手厳しい」


志木はそう笑った


「傷口は?」

「右側の横腹を少々」

なるほど。まだ痛そうやな
イソイソと志木から離れて志木の服を捲り上げる


「杏様?女性が男性の服を勝手に捲り上げるのは、いかがなものかと」

「うっさい、黙っとれ」

「はい」


傷口には包帯が巻いてある。
その包帯をはずしてみれば、痛々しい傷が残っていた。
何かに刺された跡が…

悔しいな

こんなに近くにいた志木さえも、守れへんにゃもんな


「ちょっと化膿してない?薬のんでる?」