愛は惜しみなく与う⑥

目を丸くして泉は驚いたように私の顔を見た。
さっきまでの不安そうな顔ではなく


とても、強気な顔に変わる



「頼まれなくてもそのつもりです」

「私、こんな状態なんで、あなたの事守る余裕ありませんよ?命の保証もない」

「そんなボロボロの人に守られても嬉しくないし、正直志木さん、今の状態じゃ役立たずだ」


なんと


役立たずなんて初めて言われましたよ?
ちょっと傷つくんですけど。杏様にも言われた事ないのに


「初めて会った時に約束したんだ。守らせてくれって。杏は頷いた。だから、俺は守りに行くだけですよ」


ふわりと笑って見せる
不覚にもかっこいいと思ってしまった


「いつか、杏様を連れていくんですね」


何故こんなことを言ったかわかりません。でも、無事に済めば…
泉は杏様を連れて行ってしまう気がする


寂しくなりますね



「杏を好いてる奴らから、引き離そうなんて思ってませんよ。俺は…杏が悲しむのは嫌なんです。それで考えたんです。昨日と今日で…覚悟は決めました」