「ねぇ、あんた、その机見てみな?」


水瀬は敦子に声をかけて、敦子は後ろの机に目を向け、隣に居た昴さんも同じ方を向いた

その瞬間


「きゃぁ」


「敦子!!」


水瀬が敦子に何かを放り投げた。
この部屋に立ち込める臭いで、何かわかる


「ガソリン…?」


嗅ぎ慣れた匂い
敦子に何かをぶちまけた水瀬は、右手にライターを持っていた


血の気が引く



「やっぱり、女がいいね。女の嫌がる声とか、嫌がる顔とか……あの女はなかなかしぶとくて、顔色一つ変えないし、声も出さなかったけど……

お前らの話をしたら動揺してたなぁ。楽しかったなぁ」



杏のことを言ってるんだろう

本当にこいつは狂ってる



「敦子、部屋でろ」

「う、うん」

「朔と慧も、でろ」


え?でもまだ……杏のことや、妹との関係の証拠を充分に見つけれてない



「ええから。言うこと聞け。こいつ、この部屋ごと吹き飛ばすつもりちゃうか」



昴さんの焦り声

水瀬の笑い声


ガソリンをぶっかけられた敦子は、どっちにしろ、何処にいても危ない