愛は惜しみなく与う⑥

「君たちが探してる証拠で、1番欲しいのは、その職員室の中だけど……仕掛けを解除してから入らないと、爆発する。困るから止めに来たんだよ」


そういう水瀬の顔は、あの時と変わらず不気味なままで…
扉を開けることが怖い


「…解除しろや」

「んーまぁいいんだけど、俺はまだ捕まりたくないんだよね。解除して逃がしてくれるなら、解除してあげるよ?」

「…とりあえず、解除してくれへん?そのあと考えるから」


敦子は水瀬の肩をドンと押して、扉の前に立たせる。


「君、あの子みたいに、良い顔して泣きそうだね」


パッと振り返り敦子の髪を触る水瀬

そして



「俺の仲間に触るな。殺すぞ」



水瀬を殴り飛ばした昴さん


「ちょっと、昴!ええよ。こいつおらな開けれへんにゃろ?」

「嘘かもしれへんやろ。時間ないねん。もうそいつええわ」

「ちょっと…慎重に」


俺が人に慎重にやれよなんて言うことなんて、この先あんまりないと思う。

でも今は、キレてしまった昴さんを、宥めなきゃいけない。