愛は惜しみなく与う⑥

そのアルバムを少し見て後悔した。
敦子も無言になった。
両サイドから教室を調べて行き、そして、最後…

真ん中にあったのは職員室


分かれて探していた昴さんと慧


2人の顔を見れば、浮かない顔をしている。何か見つけたんだろう。


「最後はここやな」


昴さんが職員室の扉に手をかけたとき

何か嫌な予感がした

それが何かと聞かれたら、答えれないけど、ゾクリと背中に嫌な感じがした


「待って…」


扉に触れる昴さんの手を掴む
何かわからねーけど


「嫌な気配がする」


俺は杏みたいに野生の勘も強くないし、泉みたいに、気配が読むのが上手いわけじゃない。
でもここは……


すごく嫌な感じがする



もう時間がないのもわかってるし、最後がこの部屋なら探さなきゃいけないのも分かってる。

でも、入りたくない



「なーんだ、開けないんですか?データとともに、吹っ飛ぶ予定だったのに」


こ、の声は


聞いたことがあるぞ


この体に纏わり付くような声は……



「水瀬」


声のした方を振り返れば、見覚えのある男がいた。