ここに来たのは秘密だと言い、女は2階の高さにあるバルコニーの手すりにフワリと座る



そのまま背を向ける


行ってしまう


誰かもわからないのに


もっとこの気持ちを教えて欲しいのに


どうしても…欲しいと思った




天使のようにフワリと宙に舞い、女は消えた



そうか


俺はこのために今まで生きていたのかもしれない。
このしょうもない世界で、なにも響かない世界で、この時のために…今まで耐えてきたんだ


……初めて感情が溢れ出す、この瞬間のために生かされていた



今まで感情を押し殺し、周りの人全て真っ黒に見えていた世界が、その日から変わった



そして自分でも手がつけれないほどに



貪欲に求めてしまう



殺してでも側に置いてみたいだなんて



最初は思ってなかったのにな



ドロドロとした執着心は、また新しい感情を呼び覚ました



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