油断してるわけじゃなかった


ただ今あの瞬間は

守ってあげれなかった事。家族のように近くにいたのに、しっかり見てあげれなかった事に対して

本当に申し訳ないと思って……


あぁ


私も素人じゃないんでね。
この痛みの感覚は危ないと言うことは分かった


一気に身体が冷めていく
倒れて鈴に視線を向けると、震える手で血だらけのナイフを持っていた

どこから持って来たのか


病室に置いてあったものか?


いや、そんな事はどうでもいい




全てを知ってるのは私なのに
私だけなのに

一瞬死を覚悟した



誰かに伝えなければ…


感覚のない手で携帯を取り出す


あれ


誰に電話をかければいいんでした?


蘭様に…?

杏様?


あん、さま…



目を閉じちゃダメだ
目をどしたら走馬灯のように、杏様との思い出が駆け巡ろうとする。


目を閉じて、幸せな楽しかった思い出に浸りたい。


いや

違う




「私は杏様を守らないと。杏様を…杏様を私の代わりに守ってくれる人…」





こうして意識が朦朧とする中


泉に電話しました