「ごめんね?でも最後だから」

「ん?」


「最後に抱きしめて」


涙を流しながら鈴は言う


1番の被害者は杏様です。
でも鈴も…鈴も気持ちを弄ばれて、手駒にされて、好きやようにされてたと思うと

いたたまれない気持ちになりますね


兄のような気持ちで目の前で泣く鈴を抱きしめようとした


私にとっては鈴も、我儘で面倒ですが、妹みたいなものなので。


杏様よりも少し背の小さい鈴に手を伸ばす



馬鹿なことをしましたね。
貴方はちょっと腹黒いくらいで丁度良かったのに。
無駄に、不要な知識を得てしまいましたね。



「貴方がそんな事になってるとは知らずに…気づいてあげられなくて申し訳ありませんでした」



ふわっと胸に飛び込んできた鈴は

耳元でごめんねと呟いた


その言葉が先だったか




腹あたりに感じる痛みが先だったか





「1人じゃ死ねない…もう1人は嫌!!志木…あたしと一緒にきて」



ドクドクと血が


腹から流れ出す


やばい。そう思ったときには地面に倒れてしまった。