愛は惜しみなく与う⑥

俺のその素朴な疑問に志木さんは答えた




「私にはできないことを…頼みました」




眉を下げて笑った志木さんは、まるで自分を見ているようで心臓がキュとなる。

その気持ち、俺にもわかるよ


俺らじゃダメなんだよな


俺らじゃ杏は、素直に甘えれないんだよな


「…朔?」

大丈夫?と、隣の響が頭の上に手を乗せる。それは泉がよくする癖と同じ。

はは
かなわねぇよな

大丈夫。俺は俺のできることをするからさ



「泉なら…大丈夫だな」



心の底から思ってるよ。
俺は泉も杏も大好きだから

ずっと黙っていた女2人は、じーっとこちらを見ていて、2人同時に…目が潤む


え?



「なんなん!朔くん!そんな切ない顔せんといてよーーー!」

「ダメ、年下のションボリ顔に弱いの、あたし」


うわ!
両サイドからお姉様方に抱きつかれる。こんなシチュエーションなかなかないぞ?


「美奈子の乳が当たってる」

「バカね、わざと当ててんのよ」

「関西の女こえー」

「さ、朔が食べられちゃう」


そんなテンポのいい会話をする

響は目眩でもしたのか、くらりと慧の方へ倒れる。
むぎゅーーと抱きしめられる。まぁそりゃ、悪くはないよ?