愛は惜しみなく与う⑥

俺たちには想像もできない世界
執事ってなんだよ


「数日で戻ると伝えていますので、新人教育係の方は、風邪か別の仕事か何かかと思ってると思うんで、泉がポンコツであろうが、特に何も言っては来ないと思います」

「執事って儲かるの?」

「話逸れてますよ?」

「あ、ごめんごめん」


お金の匂いがすると美奈子がまたウキウキしだす。緊張感がないよな
杏とは本当に種類が違う人達だ


「今日朝に、なんとかなったと泉からメッセージが来ていました。今夜あたり…杏様に接触してくれるはずです」


「一つ気になってるんですがいいですか?」

「なんでしょう?」


新は志木さんの話を遮る。


「泉が杏に会えたとして、どうするんですか?連れ出すわけにもいかないでしょう。それこそ杏の望む事でもないですし」


確かに新の言う通り。俺はあんまり考えてなかったけどさ?
普通に杏を連れ出して、サトルをぶっ倒そうと思ってたけど…

そんな簡単にいかないよな


ましてや、母親が杏を妹だと思ってるなら尚更。急に居なくなれば、行方不明だと大騒ぎになる。


「じゃあ泉は何しに行ったんだ?」


純粋にそう思った。何が出来るんだろう?