「それにしても、お前が杏様杏様言ってるの、いまだに違和感あるわ」
昴さんは敦子が静かになると、ハッとして立ち上がり、飲み物くらい出せばよかったなと、お茶の準備をしてくれた。
「俺らからしたら、杏様杏様うるさいくらいにずっと言ってんぞ」
そう。
志木さんが杏にタメ口だったなんて、想像もつかない。
「そうですかね?まぁ半ば強制的にタメ口を使えと言われて、練習したんで…割と杏様に対して怒ってる時とかはタメ口になりますよ?」
普通にそう答えるけど、タメ口使ってるところなんて見た事ないけどなぁ
綺麗な主従関係なんだと思ってた。
「杏に話す時だけ、一人称が俺だったから、今思えば違和感だったな」
ケタケタと笑いながら、小さなちゃぶ台に8個コップが並んだ。
「一人暮らしなのに、コップいっぱいあるんだねー?」
敦子は全部同じ種類のコップをみて、へんなのーと首を傾げている。
「女の子と達と合コンするために、食器とか揃えたんだよ」
「は?なにそれキモい。家で合コンとかありえないわよ」
キモい。さらにもう一度キモいと美奈子は言い、昴の背中を叩く



