愛は惜しみなく与う⑥

自分の行動次第で

誰かの人生…多くの人たちの生活を、壊せてしまう立場に居るなんて



「蘭様は、東堂を経営していく中で、今も尚、欠けてはいけません。でも、話した通り、かなり精神的に病んでるお方です。
不安定なんですよ、東堂は。１つ何かあれば、綻びが大きくなっていく。

あの時の杏様が、鈴のフリをしていなかったら、今頃、東堂財閥は破産してます。確実に。

感情論だけで言えば、なんでそんな決断するんだと思う人もいるかも知れません。私も思いますから。でも…
背景を知っていると、何も言えなくなってしまいました。
杏様と共に、多くの人の生活を奪う覚悟や、その後の責任を負う覚悟が出来なかった。

一緒に頑張ろうって言えば良かったのに…出来ませんでした。

だからせめて……世のため嘘をつく杏様と、あの忌々しい事件を共に…背負おうと思って今日までやってきました」



ぶっちゃけ東堂財閥が俺たちの生活に何を与えているか、なんの会社かとか、正直分からない。デカすぎて

でも、そうだよな


俺もきっと、杏のような選択肢を選んでしまう気がする。


だって俺は、そこまでの事を、背負う勇気がないから。自分の人生を選んだ後、その後悔と生涯付き合っていける自信もないから。