愛は惜しみなく与う⑥

先に裏切った?杏様が?そんなことあるわけ無いのに。
間髪入れずに鈴は話し出す


「ボロボロの私を助けてくれたのはサトルだよ?信じてたお姉ちゃんに裏切られて、そんな可哀想な私を、サトルだけが助けてくれたの!!」


取り乱し地面にしゃがみ込んでしまう鈴
どういうことか考える前に、鈴の体調の方が不安になる。
呼吸がし辛そう。興奮しすぎましたね

そろそろ薬が切れる

複数用意しておいた注射器の空気を抜き、しゃがみ込む鈴にそっと触れて、痩せ細った腕に注射を打った


腕には沢山の注射痕が。

見ていて痛々しかったです


呼吸が落ち着いたのか、鈴は身体を私に預けてきた


「もう死にたい」

「馬鹿なことを言わないでください」

「お姉ちゃんの事好きだったんだよ」

「知っていますよ」

「でもお姉ちゃんが私を裏切ったんだよ?」

「杏様が貴方を裏切るなんてあり得ません」

「んーん。違うよ志木。全部聞いて」


私の胸に飛び込んだまま、鈴はポツリポツリと話し出した


どうしてこんな事になったのか
杏様が裏切ったとは一体なんなのか
この馬鹿でどうしようもない1人の少女に何があったのか


それを聞いて、私が分かる範囲でまとめていた情報と、繋がった