愛は惜しみなく与う⑥


一種の自己防衛ですね。
そう志木さんは呟いた。

昴さん達もある程度予想はしていたものの、あまりの酷さに顔を歪めた


杏は、無関心の怖さを知っていた


ずっと愛されない。そして、違う人を自分に重ねて、自分に向いていない愛を感じていたのか


「なんで杏は…そこまでするんだよ!!そんな奴ら放って置けばいいじゃん!どうしてだよ…。杏は…」


言葉が続かない。分かってるよ
杏が決めたから、俺たちにはどうしようも出来ないってことも。
きっと、その頃に出会っていたとしても、俺たちには止める事はできない。

分かってるけど



「東堂財閥が崩壊すれば、どうなると思いますか?」


困ったような顔で笑う志木さん


「私もこんな家捨ててしまえと何度も言いました。でも、心のどこかで、その後どうなってしまうんだろうか。生きていけなくなる人が沢山出てしまうのでは?その思いが…杏様を無理矢理にでも止めることを、邪魔しました」


私も所詮、東堂の人間なのです。


そう付け加えた


俺たちには到底、理解ができない事だった