一種の自己防衛ですね。
そう志木さんは呟いた。
昴さん達もある程度予想はしていたものの、あまりの酷さに顔を歪めた
杏は、無関心の怖さを知っていた
ずっと愛されない。そして、違う人を自分に重ねて、自分に向いていない愛を感じていたのか
「なんで杏は…そこまでするんだよ!!そんな奴ら放って置けばいいじゃん!どうしてだよ…。杏は…」
言葉が続かない。分かってるよ
杏が決めたから、俺たちにはどうしようも出来ないってことも。
きっと、その頃に出会っていたとしても、俺たちには止める事はできない。
分かってるけど
「東堂財閥が崩壊すれば、どうなると思いますか?」
困ったような顔で笑う志木さん
「私もこんな家捨ててしまえと何度も言いました。でも、心のどこかで、その後どうなってしまうんだろうか。生きていけなくなる人が沢山出てしまうのでは?その思いが…杏様を無理矢理にでも止めることを、邪魔しました」
私も所詮、東堂の人間なのです。
そう付け加えた
俺たちには到底、理解ができない事だった



