愛は惜しみなく与う⑥


「志木くん…」

敦子は輪からすこし身体を乗り出して、少し俯く私の頭に手を伸ばした



「怒ってごめんな?悔しかってん。美奈子ちゃんも1発殴ったらもう気がすんでるよ?やから、泣かんといて?あたし達がこんなに苦しいんやもん。志木くんはもっとずっと…悩んでたんよね」


「…殴って悪かったわね。避けると思ったから本気でやったのに…避けないんだもの。びっくりしたわよ。別に…志木を責めてる訳じゃないわよ!何も知らなかった自分に嫌気がさして、いい所にあんたが来たから。それだけだからね」


「俺らがこの半年、何してたか知ってるか?身体もなまってへん。いつスコーピオンとやり合う事になっても、勝てる準備をしてた。
お前達は俺らから離れたと思ってるかもしれへん。でもな、俺らはまだ、薔薇は解散したと思ってない。薔薇は笑ってみんなでありがとう言うて解散するねん。杏が…そう言うてたやろ?
だからまだ…俺らは仲間や。これからもずっと。それぞれの道進んでも…仲間や。やから

杏を救わへん選択肢はない」



どうしても、こんなに逞しくて強くて優しい人達がいたのに、私も頼ることが出来なかったんでしょうか