「気持ちわかるよ。あいつなんでも一人でやろうとする。自分だってしんどいのにさ。俺たちのことばっか考えるんだ」
朔はポツリポツリと話し出した
「いっぱい悲しい経験してるんだ。だからあんなに優しくて、人の痛みに寄り添えるんだ。杏は……馬鹿だ。頼り方も知らないし、頼れば喜んで助けてくれる人がいっぱい周りにいる事に気がついてねぇ。
こんなに愛されてるのに。だからムカつく。俺たちを置いて出て行った事。一人で戦おうとしてる事にむかついたんだ。
俺たちだって、頼られてぇよ」
机に伏せてしまう朔
いま朔が言った事は、俺たちが思う事全て詰まっている。
頼られたかった、本当に
愛されてる事に、気づいて欲しかった
「お前、優しいな。ありがとな。お前らみたいな奴らに出会えたから…杏は今生きてるんやと思う」
昴さんは泣いているであろう朔の頭をポンポンと撫でる
朔はグズグスと鼻をすすり下を向いたまま
朔につられて響もぐすんと鼻をすする
案外泣き虫が多いからなぁ



