愛は惜しみなく与う⑥

「え？なんて？は？……お前、杏と一緒にボコボコにすんぞ。は？おま……どういうことだよ。説明しろよ」


電話に向かって大声で怒鳴る昴さん

敦子ちゃんも美奈子さんも、不安そうに昴さんを見る


「くそ！こいつ、淡々と説明しすぎて意味がわかんねぇ！だるい！うざい！」


怒りながら昴さんは携帯を机に置き、スピーカににした


『皆さますみません。想像以上に麻酔が効いて、目覚めませんでした。お許しください。そして、昴達に説明しようと思ってて、普通に杏様が心配で忘れてました』

「わ、忘れてたのかよ！お陰でエライ目にあったんだぞ！？追いかけ回されるし！ネットに写真載ってるし！」

『元気そうですね、朔さん。傷口に響くので、少し小さな声で話してもらえますか？』


電話の向こうの志木さんは
いつも通りで安心した



「おい、お前、さっき言ったこと、敦子と美奈子に話せ」


昴さんは両手で頭を抱えたまま


不安そうに電話に耳を傾ける2人

そして志木さんは言った



『鈴は生きてます。そして杏様の婚約者はサトルです。サトルと鈴は手を組んで、杏様を陥れようとしていました』