愛は惜しみなく与う⑥


「俺たちは杏が何者でもどーでもよかった。隠したいなら隠しとけって思ってたんや。生まれとか関係ない。俺たちが出会ったときの杏は、ただの女の子やった」


そうなんだね
みんなずっと気付いてたんだね。
でもそれを気にせずに…ずっと杏ちゃんの居場所を守ってたんだね

涙だ出そうになる
この人たちの気持ちに


「だって、妹やゆうて連れてくる子が、あまりにも風格あったしなぁ?」


敦子ちゃんはクスクス笑う


「あの子は喧嘩してても綺麗なんだよ。動きとか指先まで全部。育ちはいいとは思ったけどね」


そしてふと思った
まだ妹の話をしていなかった

どうすればいいのか

でも話してしまわないといけないし…



すると、昴さんの携帯が鳴る


「あ、志木だ」


そう呟いた


「「志木さん!?目を覚ましたのか?」」


響と朔の声が重なる


「でるわ。ちょっと待ってて」


そして昴さんが電話に出る

会話は聞こえない。でも昴さんの声は聞こえる


「お前、見ず知らずの土地に、餓鬼を送んなよ!なんも聞いてねぇから、リンチするとろだったろ」


あ、リンチされそうだったんだね?やっぱり