「俺たちは杏が何者でもどーでもよかった。隠したいなら隠しとけって思ってたんや。生まれとか関係ない。俺たちが出会ったときの杏は、ただの女の子やった」
そうなんだね
みんなずっと気付いてたんだね。
でもそれを気にせずに…ずっと杏ちゃんの居場所を守ってたんだね
涙だ出そうになる
この人たちの気持ちに
「だって、妹やゆうて連れてくる子が、あまりにも風格あったしなぁ?」
敦子ちゃんはクスクス笑う
「あの子は喧嘩してても綺麗なんだよ。動きとか指先まで全部。育ちはいいとは思ったけどね」
そしてふと思った
まだ妹の話をしていなかった
どうすればいいのか
でも話してしまわないといけないし…
すると、昴さんの携帯が鳴る
「あ、志木だ」
そう呟いた
「「志木さん!?目を覚ましたのか?」」
響と朔の声が重なる
「でるわ。ちょっと待ってて」
そして昴さんが電話に出る
会話は聞こえない。でも昴さんの声は聞こえる
「お前、見ず知らずの土地に、餓鬼を送んなよ!なんも聞いてねぇから、リンチするとろだったろ」
あ、リンチされそうだったんだね?やっぱり



