愛は惜しみなく与う⑥

少し走らせると
隣の鈴が、ん…と声を出した

起きますかね


車を脇に止めて様子を見る


すると、少し体が痛いのか、体をよじって目を開けた。
そして私のことを見た瞬間に、叫ぼうとする。

まぁ

口を押さえてるんで、煩くはなかったですけど


「ほら、暴れたら疲れるだけですよ。話が終われば、あの病院に突っ込みなおしますよ。だから…大人しくしなさい」


鈴は、私の言うことはよく聞いた
杏様に言われても無視する時などは、私が伝えれば、言うことを聞いた

それも小さな反抗心なんですかね


もがもがと何か話そうと口を動かしているので、ゆっくりと手を離せば、鈴は一生懸命息を吸った

あれ
鼻まで押さえてましたかね?

まぁいい


「どうしてこうなってるか、分かってますよね」


「……馬鹿みたい」


「馬鹿で結構です。お久しぶりですね。半年ぶりですか?私と杏様の前で、あなたが拉致られて以来だ」


笑って鈴の顔を見れば、怯えた表情をしている。