愛は惜しみなく与う⑥

はぁ
疲れたわ。ほんまに疲れた。

でもここ数日、杏としての気持ちはあんまり動かへんかった。
ただ人形のようにボーッと定められた運命に向かってただただ動けずにいた。

でもこうやって

あたしを思ってくれる人達と一緒に居るのは幸せやな



「雄作さんも、泉もありがとう。それに皆んなもありがとう!あたし幸せもんやな」



ありがとう

こうやって気持ちが動くことが嬉しい。あぁ、あたしの居場所やなって思った


「お前が…幸せならそれでいい。おいで、杏」


雄作さんはあたしを手招きする。あたしは立ち上がらずに、ハイハイするように雄作さんに近づく

すっと首に手を回して、あたしを抱きしめた



「杏は、俺の自慢の娘だ。目に入れても痛くねぇ。命をかけて守ってやる。でも杏は嫌だもんな。ごめんな。そうじゃなくて、一緒に戦ってやるから。杏は自分ができることをやりなさい」


雄作さんはすごいな
心強いわ
嬉しい。

あたしは父親を知らん
もはや何してて、何処にいるかも知らん

話したのも数えれるくらいしか記憶にない