愛は惜しみなく与う⑥


「もしなんかあったらどうするん?怪我したら?あいつらは人殺すのなんてきっと気にもしてない。それを待っとけなんて……」


そのまま雄作さんに反論しようと、息を吸いもう一度話そうとすると

隣にいた泉があたしの身体の前に手を出して、小さな声で、もういいよ。と言う



「話がずれてきてる。酔ってて今日俺が言った事忘れたんですか?東堂組のみんなの力を借りるときは、抗争になった時だ。明日、如月家に行くのには、必要じゃない。


明日は俺と杏、2人で行く。もう決めてるんで」


泉は雄作さんにそう言い切った
雄作さんは泉を睨みつけたまま


「2人でもし何かあったらどうするんだ?お前がヘマしたら、杏は1人になるんだぞ」

「ヘマしないし、1人にもさせない」

「何があるかわからねーだろ。リスク計算もせずに突っ込むことほど、愚かな事はないぞ」

「リスクも考えた上で、2人で行くって言ってる。何かあったとき、2人の方がやりやすい。俺は、杏だけ守ることに集中すればいい。杏は自分の身を守ることに集中すればいい」


簡単だろ?と泉は言う