愛は惜しみなく与う⑥

状況は、おかしい
よくわからへん

だってさ、泉がいることもやけど、雄作さん達は…東堂組のみんなは


あたしが死んでると思ってたやろ?


そう思うように、あたしがしたんやけど。
やのにさ。雄作さんはあたしをみて、杏って名前を呼んだから


懐かしい家

畳にみんなあぐらをかき座り、あたしと泉も雄作さんの近くに座った


夢見たい
この部屋で、またこの光景を見れるなんて



「杏」


雄作さんは急に真面目な顔になり、あたしと目を合わせた。
でもすぐに雄作さんの顔はすごく優しくなる



「お前は何も話さなくていい。もう分かってるから。どうして嘘をついたのか、どうしてここまでやったのか…もう分かってるから。だから何も言わなくていい」


分かってるよ

そう言ってくれた



「もう頑張らなくていい。俺たちがいる」


頑張らないでいいよ
雄作さんは、泉と同じ言葉を言った。

頑張らなきゃ、耐えれなかった
頑張らなきゃ、死にたくなった